「それがさあ、疾風。聞いてる?」


「はいはい。いつも牛(ウシ)くんの言うことはしっかり聞いてますよ」


 すっかり文化祭の準備も終え、やっとひと息ついている2人。


美術部顧問である世良教諭の魔の手をかい潜り、何とか美術部員一同の絵画を、1人当たり2点ずつ展示することに成功した彼らだった。


しかし潮は1人で忙しく(とは言っても潮のスピードは遅いのだが……)立ち働いている時に窓の外、校庭脇に沿った道を男女が普通に歩いて行くのを見たのだ。