「それに?」


「痩鼠家の血を絶やさないためなんて言っちゃいるが、お前はただオレとヤリたいだけだろうがっ!」


「えへへへえ……おわっ!」


 思わずにやけてしまった大俵太(オオタワラフトシ)の延髄に、痩鼠小粒(ヤセネズミコツブ)の見事な旋風脚(太極拳の大技。360°回転して敵を蹴る)が決まった。


もんどり打って倒れ込んだ太を振り返りもしないで、小粒はその場を立ち去ってしまう。


「……ったく太の野郎、何かと言えば婚約婚約って……。いつかぶっ飛ばしてやる」