しかし元々地黒な上に、毎日ラグビーで汗を流している日に焼けた肌では気付く者も居ない。


 男同士ではあるのだが、彼はひとかたならぬ感情を齢にいだいていたのだ。


「ほれ、ボサッとしてると次の授業が始まっちまうぞ? 俺らは体育だから、先行くからな」


「解ったぁ。僕も実験だから理科室に行かなきゃあ」


「んじゃ、また昼にな」


「うん。またねえ」


 輝く笑顔で手を振る齢に、目を糸のように細めた靭が手を振り返した。