そしていつもの道順を辿らず、厳の学校へ向けて暫く走った時だった。


「あれ、どうしたのかしら」


 車窓から外の騒ぎを見た美麗が、助手席の厳を叩きながら指差した。


「え、ああ。はいお嬢様、下らないいざこざかと」


 そこには学生たちが群れていて、1人の女子高生を囲んで何やら騒いでいる。


信号待ちで停車した車から何の気なしにその光景を見遣った時だった。


「下らなくないわっ、あんな小さな女の子に暴力を振るってる!」


 またあの時のように、猿三兄弟が小粒に襲い掛かっていた。


「ウキャキャッ」


 三兄弟の『言わ猿』が、その長いリーチを駆使して小粒に殴り掛かった。


「分脚!」


「ブヘッ」


 羽根を広げるようにして言わ猿の正拳を跳ね上げて交わし、その後ろから殴り掛かって来た『見猿』のみぞおちを蹴り上げた。