疾風がまた教室を覗くと、さっきまでは忙しく立ち働いていた世良は動きを停め、マネキンのように佇んでいる。
「全くこのオッサンだけは油断ならねえんだからよ。あれ? なんかビックリ顔してんな。ああナルホドこれね」
疾風が覗き込んだ世良の腰辺りに、50号程の額が浮いていた。
どうやら手を滑らせて落としてしまったらしい。
その額を良く見ると、極僅かではあるが床に向かって動いているのが解る。
潮の操る牛歩は、時間をきっかり停めることは出来ないのだ。
「さっ。ではこの疾風様が我が美術部員のためにひと働き、と行きますか」
「全くこのオッサンだけは油断ならねえんだからよ。あれ? なんかビックリ顔してんな。ああナルホドこれね」
疾風が覗き込んだ世良の腰辺りに、50号程の額が浮いていた。
どうやら手を滑らせて落としてしまったらしい。
その額を良く見ると、極僅かではあるが床に向かって動いているのが解る。
潮の操る牛歩は、時間をきっかり停めることは出来ないのだ。
「さっ。ではこの疾風様が我が美術部員のためにひと働き、と行きますか」