太は当然のように返したが、その言葉を聞いて小粒は彼を睨み付けた。


「恐い顔してどうしたんだよお、小粒う」


「人を信じられなくなったのはそもそも、お前に見捨てられたからだよ、太」


「え、ええっ?」


 太は思いもよらない小粒の返答に目を見開く。彼女は尚も続けた。


「俺はお前に『苛められてる』って打ち明けただろう? だけどお前は『小粒が可愛いから』って能天気な答えの一点張りだった」


「でもお、最初は実際そうだったんだってばあ」


「苛めが進んでからもお前は【見て見ぬ振り】だった。俺はそんなお前を見限って、師匠の所へ入門したんだ」


「……ごめん……」


 太は俯いて黙り込んでしまった。