「お嬢様。どちらへ」


「遊びに行くわよ! 気晴らしよ、毒島」


 彼女の話から、厳は改めて美麗との距離を感じていた。政略結婚の道具としての彼女と自分が、どう間違っても結ばれることなど有り得ない。


美麗のボディーガードで居られる今の内が華なんだと、心の落ち着け処を漸く見付け出していた。


「早く早くっ!」


「は、はい。お嬢様」


 彼らは繁華街へ消えていく。


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 小粒からこてんぱんにやり込められた井手は、また以前のようにおとなしくなっていた。


「しかしあれは一体なんだったんだ?」


「解りません。でもあれは間違いなくミニーでしたよ」


 取り巻きたちとまた同じ話を繰り返す井手。