「よし解った。じゃあ牛に早いとこ時間を停めて貰うとするか」


「だからあ、僕は潮だってえのにい。僕が『牛歩』を使わなかったら時間を戻せないんだよ? そしたら世良の……」


「解った解った俺が悪かった。ではお手数ですがお願いいたします潮君いや潮様」


 潮はジロリと疾風を睨んで、


「なんか疾風が言うと、全然心が込もってない気がするんだよなあ」とか言いながら腕捲りをすると、両手を広げて目を閉じた。


「むんっ」


 そして開いていた手の平を固く握り締めて、更に気合いを込める。


「くくっ、むむうう」