「疾風さん、ソレ。あんまり面白くないんですけどお。ほらまたあ、ちゃんと中心にゴム留めないと格好悪いんだって!」


 ブツクサ言いながら、山のように積まれた花の中から疾風の作ったそれを拾い上げ、丁寧に形を整える潮。


「おいおい! 何やってるんだよ。さっさと終わらして作品の展示に掛からないと世良先生に場所全部占領されちまうぞ?」


 美術部の顧問である世良は、文化祭に自分の絵を出品する。(しかも値札付き。学校側がそれを認めているのも驚きだ)


恐妻家でもある彼にとっては、それが唯一のヘソクリとなる。


だから部員の展示場所は1点でも多く陳列したい彼から実力(早い者勝ち)で奪い取らねばならないのだ。