「なんだあ、ただ格好付けてただけかあ」


「そんなとこかな」


 靭がニヒルに前髪を掻き分けると、安心したように背中を向けてスキップを軽やかに踏む齢。


「ああいう優しさがまたたまんねえんだよ」


 その背中を見送りながら、靭は切な気に呟いた。


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「お疲れ様でした。ああ先輩、この後お時間よろしいでしょうか」


 いつもの道場清掃に掛かろうとしていた静香に、最近入部したばかりの新人が申し入れてきた。


「演武で解らない所でも有るの? じゃ、矢鎌さん。先に帰ってていいわよ」