柱の陰になっていて指し示す先が見えなかったので、2人は大回りして駆け付ける。すると防火シャッターに挟まれたホームレスの男性が苦しそうに呻いていた。


「どうしたオッサン」


「うう……うう……」


「不良達が面白がって非常ボタンを押したんです。おじさんは寝てて、そのまま挟まれちゃって」


 靭は上着を脱ぎ捨てると腕捲りをしながらシャッターに手を掛けた。


「む……」


 腕の筋肉がビシビシと音を立てて張り詰める。


「うわっ、凄……い」


 叫んでいた女性も呆気に取られて口を開けたまま、靭の様子を見守っている。


「あらよ」