光は踊りを止めずにその彼を見た。近くに遠くにデジカメを構えながら移動しているのは勿論疾風だ。


慶実のブレザーの中に黒い詰襟の学ランでは否が応にも目立ってしまうので、これでも彼は加減をして動いているつもりだった。


「確かに速いけど、だから何だって言うの?」


 光は踊りを止めずに視線だけを向けながら廼斗に聞く。


「あれが多分彼の異能なんだよ、人よりも速く動ける能力だ。夢で真島が言っていた」


「なるほど。でも時間を止めたのは? 彼なのかしら」