「じゃあ僕らはウチのスタンドから青春を狙います」


 一年生部員の内、2人は世良と一緒に残った。


「よっしゃあ」


「撮りまくるぜ」


 しかし他の美術部員達はこぞって相手校のスタンドを目指し、行動を開始する。


「くれぐれも迷惑だけにはならんようになあ」


「は〜い」


 心配そうに声を掛ける教師はそっちのけで、カメラ小僧と化した美術部員達はワラワラと慶実のスタンドに散って行った。


「廼斗ごめん。アレしか来てないんじゃ手掛かりも乏しいかも」


 ポンポンを持った両手を腰に当て、笑顔を貼り付けたままで光は囁いた。廼斗は眉をしかめて謙譲高校側のスタンドに目を凝らしている。