理想の声。
それってどうやったら見つけられる?
◇
「今日で終わりにしない?」
唐突に投げられた台詞に、スタジオ内の空気が凍りついた。
言ったの、俺なんだけどさ。
「ちょ、待てよ眞樹!?何言っちゃってんの?終わりってどういう……」
マイクを持ったままのボーカリストが目を丸くしてこっちを見てる。まあ当然といえば当然な話。
俺はニンマリとわざとらしく笑顔を作る。
「だぁってお前の声、やっぱり俺の好みじゃないし」
出来るだけバッサリ斬ってやる。後腐れないように。
「お前その言い方なんだよ!?」
「ひでぇだろ!だいたいなんだよ、いきなり終わりにするって!ふざけんなよ!!」
無言のままのボーカリストを庇うように、ギターとベースをそれぞれ抱えたままで二人が俺に向かって大声をあげる。
毎度このパターン。
いつだって俺が悪者。
ま、それでいいんだけどさ。
でも、少しだけ意地悪をする。
「あれ?お前らもコイツの声イマイチだって言ってなかった?」
「「なっ……」」
二人の口がパクパクと、金魚みたいに動いた。
ばーか。