理想の声。

それってどうやったら見つけられる?











「今日で終わりにしない?」


唐突に投げられた台詞に、スタジオ内の空気が凍りついた。
言ったの、俺なんだけどさ。


「ちょ、待てよ眞樹!?何言っちゃってんの?終わりってどういう……」


マイクを持ったままのボーカリストが目を丸くしてこっちを見てる。まあ当然といえば当然な話。
俺はニンマリとわざとらしく笑顔を作る。


「だぁってお前の声、やっぱり俺の好みじゃないし」


出来るだけバッサリ斬ってやる。後腐れないように。


「お前その言い方なんだよ!?」

「ひでぇだろ!だいたいなんだよ、いきなり終わりにするって!ふざけんなよ!!」


無言のままのボーカリストを庇うように、ギターとベースをそれぞれ抱えたままで二人が俺に向かって大声をあげる。
毎度このパターン。
いつだって俺が悪者。

ま、それでいいんだけどさ。

でも、少しだけ意地悪をする。


「あれ?お前らもコイツの声イマイチだって言ってなかった?」

「「なっ……」」


二人の口がパクパクと、金魚みたいに動いた。

ばーか。