「だったらあんたが探して来いよ、納得できるギタリスト」


しばらくして顔を上げた敦士はそう言った。

やっぱりそう来るかー。

予想通りの答えを返してきた敦士に、俺は苦笑を返す。


「お前は俺が連れてきた奴で、納得してくれんの?」

「巧けりゃな」

「君の巧いはどんな巧いなのかねぇ?」


ややからかうように問い掛ければ、敦士も同じように口元を歪めてこっちを見上げる。


「俺の声の邪魔をせずに引き立てられる奴」

「うーわ、なんかすげぇやな言い方」

「うるせぇ。ギターやベースなんてな、俺の歌を響かせる為の道具なんだよ。それ以外の何もんでもないね」


その言葉に、俺はカチンときた。
前々から、というか沢口さんからBLACK NOISEの話を聞いて、映像を見せられた時から薄々気付いてはいたけど、敦士のバンドについての考え方が気にくわなかった。

ホント、こいつは自分以外のメンバーのこと、道具としか見てねぇよな。

俺が一番気に入らないのは敦士のそういう考え方だ。