長い溜め息が口元からこぼれた。手にしていた携帯電話を、乱暴にジーンズに押し込む。陳列されたCDを見る気にもなれず、足早に店内を移動した。
けれど、出口に向かう途中、否が応でも目に入ってくるアイツ等の姿。
平積みされたCDのジャケットには、シンプルにマイクが一つだけ。その脇にポスター。そこに写ってるのは、俺が今一番見たくない奴らの姿。
「さっさと解散しちまえ、クソが」
数秒だけその前で立ち止まって、小声で呟いていた。
ポスターに印刷されたバンド名。それを目にするだけで苛立ちが増す。
“PRISONER”
反吐が出るくらい見飽きたその名前に、くるりと背を向けて俺は店を出た。
──なんでここに並ぶのが俺の音楽じゃねえんだ。
もう、数え切れない程何度も思ったこと。
こんなの、負け惜しみだ。