最近、毎日のように電話をかけてくるこの男に、今日何度目かわからない溜め息がこぼれ落ちる。出なきゃ出ないで一日中電話が鳴るのも分かっているから、仕方なく通話ボタンを押した。


「何の用だよ?」


答えの分かり切っている問いを開口一番に突きつけてやる。意地が悪いってのは、もちろん自覚してる。けど、そんなに急に素直になれる性格でもないんだ、俺は。


『つれないなぁ。のっけからその台詞?』


低い声が耳に流れ込む。それがイライラする反面、安心する気もする。少しだけ。
そう思ってしまう自分にも腹が立つ。


「テメェと話すことなんかねぇんだよ」


毎回同じ言葉を交わしている。もうかれこれ一週間だろうか?なんでこんなことになってんだか。俺自身よく分からないんだけど。


『ね、そろそろ心は決まった?』


一週間前にも、そして昨日にも聞いた台詞が、俺の黒く染まってる胸を穿つ。