「寂しかった…?」
『大切な家族が1日で居なくなった…生きてる兄ちゃんでさえ居場所が分からない…』
「…」
私の話を黙って聞く皇紀
『そばにいて欲しかった。だけど居てくれなかった…だから自分の中で無理矢理つじつまを合わせて兄ちゃんを恨んでたんだ…』
私はふぅ…と一呼吸おいてからまた口を開いた
『そうしないと過ごしていけなかったから…お前もそうだろ?』
「…っ!?」
『素直になれ』
「…に…だよっ」
皇紀は閉ざしていた口を開いた
「君に何が分かるんだよ!!!んなことあるわけないだろう!!!」
『だったら…だったら何で涙を流してんだよ!!!』
「…っ!?」
皇紀の頬をつたう涙…
『認めろよ!!!お前だって兄貴を慕ってんだろ』
「…そうだよ。僕は兄さんを慕ってた…でもっ両親が死んで兄さんも離れてくんじゃないかって思った…だから僕は兄さんを縛りつけた…でも…」
皇紀は力なく答えながらゆっくりと後ろに下がった
「…もう終わりだよ…また一人になるんだ。僕は…」
『何してんだよ…』
皇紀はさっき落ちたナイフを拾い上げ首もとに向けた
「嫌なんだ…一人は…」
『止めろ!!!』
ガシッ…
私はとっさにナイフを持ってる手を掴んだ
「離してっ…」
『馬鹿なことはやめろ!!!』
「離せーっ!!!」
グサッ…―
ポタッ…ポタッ…
「あ…あっ…」
『…っだから止めろ…て言った…だろ…』
ドサッ…―
倒れた私の腹部は真っ赤な血で染まっていた