今日の花は、真っ赤でどこかエロティックなユリだった。





ラズルダズルリリー。





アタシはそれを見て自然と笑顔になるのが自分でもわかった。





「三番のスタジオな」





オーナーはそれだけ言って読んでいた雑誌に目を戻す。





スタジオに近づくとわずかに漏れてくる音はアタシの知らない曲で、





しっかりとした正確なベースに何とかついていくドラムと、





まだたどたどしいギターが、演奏しているアイツらの顔を思い浮かべさせる。