「……何であなたとデートしなきゃなんないのよっ」


 全く、素直じゃないなぁ。

 俺のこと、好きで好きでしょうがなくなってるクセに。

 どこまで口説けば彼女は自覚してくれるのだろう。

 いや、自覚はしてるのかもしれない。ただその感情に素直になれないのかもしれない。



 しょうがない。俺がとびきり恥ずかしい言葉を吐いて、そういうのに慣れさせないと。


 「…だって、ミナが好きなんだもん。好きな人の傍にいたいんだよ。俺だって」


 彼女はフイっと横を向く。きっと、照れているんだろう。

 「……だから、ミナの横暴を許す代わりに、傍にいさせて欲しいんだよ……切実にそう願ってるんだ」



 彼女は歩みを止める。俯いたその顔を覗き込んでみると、リンゴのように頬が真っ赤に染め上げられていた。


 どうしよう…スゲー可愛い。


 もし猫だったら、絶対襲ってる。


 「……何で、……そういうことさらりと言うのよ……」


 弱々しく言う彼女は、完全に俺の言葉に打ち負かされてしまったようだ。

 「………恥ずかしいよ…」