「……ごめん…私、人間として言っちゃいけないこと……」

 「…じゃあ、許す代わりに俺のお願い1こ聞いて?」

 彼女ははてなという表情で首を傾げる。

 やばい。

 その可愛い顔でそんなことされたら、襲いたくなってしまう。俺はれっきとした男の上、元は猫という獣だし。

 「…何?」

 「……日曜日、デートしよう」


 「……え?」

 「デート。どこ行く?」

 「…どこ行くって……」

 「……あ。鐘鳴っちゃったから、次の休み時間に決めよっか」

 「ちょっ…さつき!」


 呼び止めようとする彼女の言葉から逃げるように、俺は教室の中へ入っていった。


 ……さっきの首を傾げた彼女は可愛かったなあ。まさか俺がデートを持ち出すとは思ってもみなかったのだろう。


 俺はこぼれてくる笑みを堪えて、退屈な地学の授業の半分を寝て過ごした。






 「――…ねぇ、ちょっと!」

 授業が終わったら、即彼女の困ったような顔を拝むことができた。


 教室に戻る時も、必然的に一緒に行動できる。これも俺の作戦の内だ。


 「……何なのよ、デートって。私たち、付き合ってもないのにっ」

 彼女は俺の腕をバシバシ叩く。

 「痛いっ、ちょっ、と、ミナっ」

 「何よっ」


 キツイ目で睨まれる。