すっごくわがままなんだけど、翔が掛けてくれたジャンバーを簡単に返したくないんだ。



「もう少し、借りてたい・・。」



せめて、家に帰るまで。


「うん、じゃ、貸しといてあげる。でも、家までね」


翔はそういうと、頬を染めた。


私は、嬉しそうに「ありがとう」と口にした。


「いいの、いいの。だって次は、俺の番だもん」


翔はそういって笑った。


そして、軽く私の頬に唇を当てた。


「温かさに触れるのは、俺の番」


にやっと笑って、翔は私の頭をくしゃっとした。


じわじわと胸のなかが温かくなった。



恥ずかしさと、動揺で上手く言葉が喋れない。