そんな事を考えているうちに、翔が私からジャンバーを再び取った。


呆然としている私の肩にジャンバーをかけて、翔は笑った。


「祭り、行こう」


ぐいっと手を引っ張って、翔は走った。


「ちょ、翔!」


絡まる足を必死に直して、翔についていく。


「俺の大事な人を取られたくないでしょ?」


走りながら、翔はそう言った。


どくんっと鼓動を打つ心臓。


大事な人。



私は、翔にとって大事な人なんだってさ!



自分に自分で言って、私の心は舞い上がる。



「翔、私も翔が大事だよ、大切だよ!」