[木月]
ハゲにも怒られたし、真朱にも、何故か谷内にも怒られた。
「…あのさあ、ホント無鉄砲だよね」
「そんなことない、痛っ…あります すいません」
部室の床に正座をさせられ、谷内にばこばこと雑誌で頭を殴られる。
「…竹之内に会いに行ったの?」
「ああ」
「ああ じゃないでしょ!」
「痛い!谷内止めて!」
べこっと雑誌を叩き落す。
「…こんな怪我して」
真朱がバンドエイドに触れた。
ピリっとした痛みに顔を顰める。
「竹之内も、元気なかった」
「…そう」
あ。
真朱の匂いがする。
身を乗り出して腕を持ち上げる真朱がこちらの視線に気付いたのか、見詰めてくる。
「なに?」
「あ、かっちゃん顔真っ赤」
「んな、な、何がだ、谷内!殺すぞ!」
ばっと立ち上がり、水道の所まで走った。