[木月]
「ぃやーーーーーったあああぁあ!!!」
予鈴が終わると同時に叫ぶ。
皆の白い目が突き刺さって出血死しそうになるが、気にしない。
今日から夏休みまで何も思い残す事はない。
「…木月、お前出来たの?」
谷内が心配そうな目で見てくる。
「大丈夫!国語はな…」
と言いかけたところで、思い出す。
「…つーかあの、何だっけ」
「竹之内」
「そうそうそれ。それって真朱の何?」
「……彼氏?」
「…マジで?」
「だってめっちゃ仲良かったじゃん。あと頭も良いし」
あ、頭良いのは否定出来ない。
この俺が文法全部出来たから。
「…ま、良いや。部活行こ」
下を向いて、靴紐を結んでいると、誰かが教室に入ってきたらしい。
何故か、しん、と静まり返った。
「………?」
顔を上げると、180は軽く超えてる金髪頭が立っていた。
そいつは、教室内の生徒一人ひとりを睨みつけ、口を開く。
「…昨日、特進科の遠藤一茶に手ェ出した奴、屋上前の階段に来い」
女でも男でも関係なく来い。
ソレだけ言うと、金髪は去っていった。
「あれ特進科の田原でしょ?アイツ超デカくない?」
「喧嘩も強いらしいよ」
「何部だっけ?」
「……なぁ、木月」
「お?」
「確か田原ってーーーー」
同じ部活、だよな?
「あれ?そうだっけ?」
全然記憶にない。
そういうと、まだ一回も部活来てないもん、と来た。
「…そっかそっか」
180はデカいよなー と呟くと、谷内は苦笑した。
「怖くないの?」
「見た目だけで判断したらダメだろ?」
谷内を見ると、お前らしいよと返って来た。