[真朱]

畳に胡座を掻いた松葉があたしを睨む。


「……商談に失敗したのは、これが初めてだ」


「だって、チビって言うからーーー」


思わずこの人が危ない輩だと忘れてクラスの友達のノリで襲い掛かっていた。
完全に不意を突かれた松葉とぎゃあぎゃあと揉み合った後、止めに入った赤頭と田中さんと言う人に引き剥がされて、気がつく。

「誰にでも初めてはあるものです」

田中さんが松葉を諭す。

「痛いのは最初だけ?」

赤頭の茶化した声に田中さんが茶化すな、と言う。