叶と別れて、ケータイを開くと、着信が五件ほど入っていた。

全て非通知でかかってきており、何となく嫌な予感がする。

着信履歴の画面をずっと見ていると、画面が切り替わって、着信画面になる。


表示は、非通知。


正直、粘り強く六回も電話をかけてくるやつは俺の知人にはいなかった。

通話ボタンを押して、耳に当てる。

「…はい?」

『ハロー、のおち先生』

男だった。
聞いたことのない声。

「誰ですか?」

『松葉と言います。貴方のとこの社長が蒸発しましたね?』

「え……はい」

『その事について色々と聞きたい事があるんですけど』

「…何も知りませんけど」

俺も、今日知らされたんです。

『………』

「もしもし?」

『…取り敢えず、今から土器駅前に来れます?』

「やですよ、なんで急にそんな…」

いきなりそんな事言われて行くやつはいないだろう。

『別に、来なくたって良いんですよ。まそーさんがどうなっても良い、って言うんなら』

…まそー?



真朱?