ウチの組が金を貸してた出版社の社長が夜逃げした。
丁子の知り合いだかなんだか知らないが泣きつかれて渋々貸してたらしいんだが、
段々返済が滞ってきて、そろそろ危ねえなあ、などと話していた所、一足先に何処かに逃げてしまった。
「何か知ってるかもしれないだろ?」
昔からの友人に裏切られた癖にこいつはのほほんと構えてるし。
かと思ったら女の子を連れてくるし。
「…あんま期待は出来ないだろうけどな」
「だいじょぶだいじょぶ。一番売れっ子のやつだから何かしら知ってるって」
「……あ、そ」
もう良いや。俺は全く関係無いです。
俺は溜息を吐くと、窓の外に視線をやった。