「…高い……」

高層マンションとでも言うのだろうか。
エントランスに入ると当然の様にオートロックの機械が鎮座していた。

部屋番号を入力すると、『はい』と優しそうな女の人の声がする。

「え、と、あの、一昨日電話をさせて頂いた、土器高校のーー」

『ああ、どうぞ』

それと同時に、ガラスの扉が開く。

エレベーターに乗り、7階のボタンを押す。

1番端の部屋だと言っていた。

ローファーの硬い音を反響させながら、あたしはドアの前に立つ。

表札も何も無い黒色のドアの横の、チャイムを押す。

すぐに、がちゃりと、ドアが開いた。