竹之内?
マンション変えたよ。
それと、ライトノベルとか書いてる。
あたしは、通い妻?
あの人料理は出来るけど掃除はダメだから。
でも、うん、まあ、相変わらずーーーー
「有希…聞いてるか?」
「え、あは、い」
「…あのなあ」
苛々を隠そうともせず、竹之内はメガネを外した。
はあ、と溜息を吐かれた。うう。
「みーこと」
シナを作って言えば、
ぐいぐいと眉間を揉む指が止まった。
僅かに耳が紅くなる。
ははあ、案外こう言うの嫌いじゃないな。
「……ん?」
何事もなかったかの様に手を退ける。
あ、目尻も紅い。
「…晩ご飯なにが良い?」
「お前がこの問題解けたら考える」
「性格悪いよ」
「知ってる」
不意に、竹之内、あ、生命が立ち上がって、あたしの手を取った。
触れた感触に問題に向けていた視線を上げると、ちゅっ、と軽くキスされる。
そしてニヤリと笑い、生命は、
「早く問題解け」
と言う。
心臓が早鐘の如く脈打っている。
頭をポンポンと叩き、生命は部屋を出て行った。
きっとこの前話してた話を書き始めるんだろう。
早くこの因数分解を解いて、後ろから抱きついてやろう。
生命、って囁いてやろう。