[木月]
「…って此処、俺の出身中学なんだけど」
「あ、ホント?なら話が早い」
ガサガサと植木の中を歩いて行く田原は、急に立ち止まって、しゃがんだ。
「なに?」
「…聞こえない?」
『なんだてめえは…うわあああ!』
『化け物じゃねえのか!?』
『痛えええ!!』
「…今からあん中に行くって?」
田原は頷く。マジかよ。ジーザス。
「行くよ…3,2,1ーーーーー」
ーーーーーどうにでもなれ!
校舎の影から昇降口の前に飛び出すと、
「…え?」
男達が呻き声を上げていた。
ざっと見て軽く20人はいる。
その中心に立って居るのは、血振りをして、刀を鞘に納めている男。
いや、あれ刀っつーかーーー
「…杖?」
男の格好が奇抜過ぎて、見入ってしまった。
着流しに、大量のピアス、ツバの広い帽子を目深に被っている。
羽飾りの付いた帽子らしいが、羽がぼさぼさになっていて、所々折れている。
「……ん?」
男が振り向いた。
「…君らも寺田の人?」
「違います」
寺田?
寺田ってなんだ。
田原が答えると、
「それなら良かったよ。高校生と喧嘩するつもりは無いから」
目深に被っている所為で顔の半分が覆われて見えない男は、口元を緩めて、続けた。
「屋上にマソーさんとタケノーチがいるよ」
ーーーー行っておいで