[坂本]
紅い目ーーールチアーノと呼ばれた男は、入ってきた男の方を一度も見ずに発砲した。
サイレンサーと呼ばれる銃声の音消しがついているらしく、入ってきた男が倒れるまで状況が分からなかった。
「…何考えてんだ?」
それ、仲間だろ?
「ハァ?仲間?」
俺に仲間もクソも無えよ。
「俺の仲間はーーーー」
スパツィオ、だけだ。
男はそう言った。
「じゃ…名前はルチアーノじゃねえだろ」
スパツィオは、6年前に解散したマフィアだったとかーーー薄ら聞いた気がする。
だけど、その時の幹部は今も『下の世界』じゃ有名人だ。
名前だって全員分かる。
「ああ」
男の目は冷たかった。
燃える様な赤色の目なのに。