[真朱]

一階に降りるのかと思ったら、下にも見張りがたくさんいるらしい。
あたしと竹之内は上の階に続く階段を上がっていた。

複雑に上へと上がって行く竹之内は、此処を知ってるんだと思う。

お互い黙ったままで、竹之内は屋上のドアを開けた。
普段は下が閉まっているため、特別教室や屋上の鍵は施錠していない様だ。

屋上に出て、竹之内が鍵を閉めるのを見てから、聞いた。

「手は…」

竹之内は、ああ、と思い出した様に言うと、右手を見た。

「大丈夫。血糊だよ」

「…え」

「よく分かんないけど、松葉が助けてくれたらしい」

だからきっとーーーーー