「せい…めい、?いのち?」

「…………」


読めないの?


細めた目で聞かれる。

「せい…せい…」

「……」

竹之内は視線を紙に戻す。
あたしは、暫く考えていたけれど、諦めた。

「…はあ」

じぃじぃと外で蝉が鳴いている。
此処は涼しい筈なのに、音だけで体に気怠さが募る。
外だってきっと、日が落ちてきて涼しくなり始めている…筈だ。

(こんな変な名前読める訳ない)

視線で言うと、竹之内に無視される。

机に突っ伏して、暫くすると、頭をぽんぽんと叩かれた。

「外行こう」