あたしは教室から顔を出すと、足音のする方を見た。

濃いグレイのメガネをかけた男がこちらに向かって歩いて来た。

この蒸し暑い中、何故かブーツを履いている。

「たけのーーーー」

そこまで言いかけた所で、口を塞がれ、教室に引き込まれた。

煙草の苦い匂いと、ジョーヴェの匂いがする。

足音が早くなる。

竹之内、来ちゃ駄目だよ。

「…leccacazzi」