教室につくと、ジョーヴェは机を端に寄せた。
あたしも倣って寄せ、それが終わると、ジョーヴェは教卓に座り、足をブラブラとさせる。
時計は動いていた。
確か、この休み中に、この校舎は壊されるのだそうだ。
少子化だか、年々通う生徒が少なくなっていったらしい。
咥え煙草で、あと15分、と呟くと、ジョーヴェは後ろを向き、何かを取り出して、目に入れた。
何時もの茶髪のウイッグをつけて、振り返る。
「うわ…」
別人だった。
ぼうっと紅く光る眼に、暗くてよくわからないが、茶髪。
「…こうすりゃあ皆口を揃えて『眼の紅い男』が、って言うだろ?」
ウインクをして、ジョーヴェはあ、と言う。
「俺がジョーヴェだって黙っててね」
「…嫌だと言ったら?」
ジョーヴェはあたしに銃を向けた。
何時抜いたのか分からなかった。
「Bang!」
ジョーヴェは笑う。
あたしは動けなかった。