坂本の襖を開けると、ぼーっと窓の外を眺めている坂本がいた。
俺が何も言わずに上がり込むと、驚いた様に目を見開く。
「…なに、どした?」
「坂本、分かった」
「え、え?」
「さっきはごめん」
でももう分かった。
…気がするんだ。
「坂本が好きな人と幸せになって下さい」
戸惑う坂本に向かって、視線を合わせて、それだけ言った。
坂本は、しばらく瞬きを繰り返してから、照れくさそうに笑った。
「…なにクソ真面目な顔して言ってんの」
「だって、真面目な話だ」
「だからって、んな思いっきり両手掴んで言う話じゃねえだろ…」
「あ、ごめん」
「…まあ、上手く行かないのは、分かってるから、竹之内がそう言ってくれて良かったよ」
ありがとう。
そう言って、坂本は笑った。
俺もつられて笑った。