気がついたら、全部ブチまけていたらしい。
背中に走った衝撃に息を詰まらせ、其処でああ、松葉を怒らせたのか、と理解する。
何時の間にか壁に押し付けられて、怒りに目を光らせた松葉に見下ろされて、動けなくなる。
「…なあ、生命」
低く抑えた声がする。
「俺は別にお節介だとか噂話が好きで茜の話を出した訳じゃ無えんだよ」
ギリッと手首に松葉の指が食い込んだ。
「…ガキか?お前は」
絶対全部坂本に聞こえてる。
「それだったら、何で戸惑う様な事…」
「じゃ、男が好きですってぶっつけ本番で聞かされて、相手連れてこられたら引かない自信あるか?」
「…」
「大体俺だって仲間の茜の事を大事にしてえんだ!部外者のお前に言いたくなんざ無かったんだよ!」
黙っている事しか出来なかった。
それってーーー
「それでも良いから、って茜に…頼まれて……」
手首を掴んでいた力が緩んでいった。
怒りで光っていた目が悲しそうに細められた。
「は。仲違いは俺の所為?勝手に言ってろ。何時までも自分の考え変えずに殻に閉じ篭ってろ、このーーーーstronzo」
吐き捨てる様に言って、松葉は何処かへ言ってしまった。
怖かった。
松葉もそうだがーーーその言葉が。
腰が抜けた様に、その場に座った。