「おーはーよ、生命」

松葉の声がした。

「…おはよう」

「ん?どうした?こんなトコで」

襖一枚隔てただけなので中の坂本には筒抜けだろう。

「…いや、別に」

すぐにでも立ち去りたかった。
俺は早足で松葉に背を向けた。

五歩進んだ所で、肩を掴まれた。

「…どうかしたか?」

「……」

「生命?」

視界が滲んだ。

坂本はあんな顔してた。

それでも俺は  理解出来なくて

同性とか  分かんなくて

すごい  良い奴なのに

悩んでる

なんで  謝った?

俺が悪いのに

じんじんと鼻の奥が痛くなってきた。

「…生命?」

「離せよ」

こいつだ

こいつの所為だーーーーー