[Giove]
「そうか…」
男はまた意味深に嗤って、あ、と何か思い出した様につけたす。
「精々マイヤー・ランスキーと仲良くケツ貸しあってろよ、『サリーちゃん』」
「…は、サイテー」
「今度偽名を使うならもっとマイナーな名前にしとけ」
「はいはい」
健全な紳士淑女の皆様には全く分からないだろうが、
つまり俺が偽名使ったのはこいつにバレてて、しかもソレを皮肉付きで教えられたってこと。
そんな会話してても俺とこの男の間にはピリピリとした妙な感じが取り巻いていた。
「…こっちからまた連絡があるだろうよ」
「そうか、」
俺がニヤッと笑うと、男も笑った。
そのまま、笑顔で車を急発進させた。