状況が全く飲み込めず、呆けていると、玄関が開いて、別の男が入ってきた。
背丈はあたしより少し大きいくらい。
コンビニの袋を下げて土足で二、三歩廊下を歩いてから気付いたように靴を脱いで、投げた。
「あ…の」
紫色の髪をした彼の顔には何の表情も浮かんでいない。
「…ねえ」
さっさとあたしの脇を通り過ぎると、荷物をコンビニの袋をソファに投げた。
そして、
「ひゃっ!?」
あたしを抱えると、ベッドの上に座らせた。
「ok?」
頷いた。
男は袋を漁って、何かを渡す。
「…ドラ焼き?」
頷かれた。
食えと言う事なのだろうか。
そういえば、もう日付は変わったらしい。
夕方―――――
「ああぁああああっ!」
あのお爺さんに話し掛けられてからの記憶が飛んでいる。