「…起きたのか」

茶髪。
穴だらけの耳。
引き締まった上半身裸。
右の薬指の指輪。
顔は、かなりカッコ良い。

そして、さっきの浮かれた声の男の声だった。

「…だれ、」

「外は暑いな」

ベッドに脱ぎ散らかしてあったYシャツを掴み、部屋を出て行ってしまう。

「ちょっと」

立ち上がったが、力が入らずに尻餅をついた。
男は顔を此方に向け、アホか、と言い、別室に入った。
風呂場らしく、暫くすると、水の滴る音がしてくる。