ものの10分で
バスは止まり
目的地へと到着




扉が開くと我先にと
次から次へと
人が流れるように外へと飛び出す



扉側にいた私達だったが
人々に圧倒され
動けずにいた。



少し待ってから出よう…
そう思いリッチャンの方を見ると
彼女も同じ事を考えていたのか
私を見て小刻みに頷く




暫くすると
あのさっき聞こえていた
下品な若者の集団だろうか
のっそり
のっそり
だるそうに後ろの席から
男5人がヘラヘラと歩いて来て
降りようとしていた。





その中の1人と私は
目が合いそうになった
…が急いでそらし




「リッチャン!」




彼女の手を強引に掴み
バスを降り
早足で人混みへと紛れこんだ。





「ミーチャン?
どうしたの?」




リッチャンは不思議そうに私に訪ねる




「いや…
不良がいたから」




彼らが不良かどうかは
分からない




ただ、目が合いそうになった瞬間



自分の中の何かが
音を立てようとした…

そんな気がした。



気のせい?




「あっバスの中の人ね
うるさかったね〜」




「うん…」