何もない殺風景な部屋に
紙くずが無動作に散りばめられ


知らぬ間に
足の踏み場をなくしていた。




机に向かう事10時間
いくら書いても書いても
男の子の表情が気に入らない



髪型も目も…鼻も



私が書きたいのは
こんなんじゃない…!!



机にペンを投げつけると
大きくため息をつき
顔を伏せた。



薄暗くなってきた部屋の窓の外からは
小学生…いや中学生くらいの女の子だろうか
笑い声が聴こえ
その音は小さくなるが絶える事はない。



どんな話題で笑っているのか気になるが
重要な所は聞き取れない
ただ、楽しそうな雰囲気が伝わってくる



ふと昔を懐かしむ空気が
私を吸い寄せる




そう、普段
「最近の若いのは…」何て
まるでおばさんのような口振りで話す私も
12年前はあんな風に笑う
中学生だったのだ。