救急治療室から医者が出てきた。

「悠は大丈夫なんですか？」

「命に別状はありません。ですが、腕や足の骨が折れています。でも、下にトラックがあって良かったです。」

薫も無事だそうだ。

それから、あたしは、毎日毎日、悠のお見舞いに病院へ行った。

悠が生きていただけでも、それほど嬉しいことはなかった。
悠は日に日に回復していった。

だがある日、自ら命を絶ってしまった。

病室から、自ら落ちたらしい。

2007年 8月10日
真夏だった。
杉山悠 15歳。


その日の夜、お通夜が行われた。

あたしは、悲しすぎて、涙が出なかった。

みんな泣いてる。
沙菜も結未も知夏も美香も薫もみんな泣いてる。

どうしたの？みんな何で泣いてるの？
悠？早く起きてよ！みんな心配してるよ？ねえ!!

悲しい叫びだった 。

現実逃避…。

あたしは、その場を走り去った。
こんな急に、あたしの前からいなくなるなんて…。
あたしを置いて逝かないでよ！
最後に何も言えなかったじゃん。
「イヤーーー」
あたしは、大きな声で叫んだ。
「待ってて、今悠のとこに行くから。」 あたしはカッターを手元に当てた。