俺は今日、この町に越してきたばかりだった。
明日から、俺の通うことになる“S高校”の近くにある、寮に住むことになっている。
「優斗、ここに慣れるように、少し散歩でもしてきたらどう?」
お袋にすすめられて、俺は渋々、コートを着て外に出た。
前住んでいた所は、雪などあまり降らないところだったから、こんなに雪が降るなんて、思ってもいなかった。
しばらく歩いて、疲れてきたから、家に帰ろうと、家までの道を歩いていた。
「・・・?」
かなり前で、女が、男たちに手を掴まれて絡まれていた。
俺にとっては、別にどうでもいいことだった。
いつもの俺なら、放っておいただろう。
だけど、
────今日の俺は違った。
女の顔を見たとたん、頭の中で何かが切れた。
「離せ」
「は?誰だよお前」
女は、何が起こったのか分からないといった顔で、俺の顔を目を丸くしてみている。
「聞こえねぇのか?その手離せって言ってんだよ」
・・・俺、こんなくだらないことで何切れてんだろ。
今日の俺、なんか変だ。