目が覚めると、そこは知らない部屋だった。


状況がうまく理解できず、あたりを見回す。


「目ぇ覚めたか」


部屋のドアが開き、入ってきたのは


さっきのキャラメル色をした髪のあの男だった。


────なんで私、この人の部屋にいるの?


ここがこの人の部屋だって一目見てすぐに分かった。


白と黒で統一された部屋。


男の人の部屋にしてみてはすごくきれいだった。


「あの・・・私」


言いかけたとたん、ものすごい痛みが横腹を襲った。


「しばらくは話すな。悪化する」


そういって男は、部屋を出て行った。




しばらくすると、男はミルクティーが入ったコップを持ってきてくれた。


「ん」


「・・・あ、ありがとうございます」


男は私にミルクティーの入ったコップを渡すと、近くにあったソファに座りこんだ。



「あの・・・ありがとうございました」


私が、いきなりお礼を言うもんだから驚いたのか、男は目を丸くしている。


「変な男たちが・・・」


そこまで言うと、男は「あぁ」と、納得したらしく、フッと笑った。


「別に。あんたが気にすることじゃない」


「でもホント、ありがとうございました」


コップを、近くにあったテーブルに置き、頭を下げてお礼を言う私を見て、男はつぶやいた。


「・・・お前、名前は?」


「え?」


「名前」


「・・・月島あゆです」


名前をいきなり聞かれて、戸惑いながらも、名前を教えた。


「俺、南優斗。それより時間大丈夫なのかよ」


部屋にあった時計を見ると、12時を過ぎていた。


「ヤバい・・・」


私は鞄をつかみ、「ありがとうございました」とお礼を言い、部屋を出で、学校までの道を走った。