携帯を手に取り、時間を確認する。



既にお昼は過ぎていて


この時間じゃ、コウタはもうこの街にはいないだろう。



コウタは生まれ育ったこの街を今日離れ


大学への進学のために、他府県へと引っ越してしまう。




新幹線で、約一時間半のその距離。




そんなもののために、あたしから離れる正当な理由が作られてしまった。




メールが幾つか受信されていたが、当たり前にコウタからの返信はなく



それもそのはずのことで。




あたしはコウタにメールを送ったあのあとすぐに


返信を待ち続けないよう、こない返信に落胆しないように


コウタのアドレスを受信拒否に設定しておいた。