人の幸せを、心から望めた人なんていたのだろうか。
まして愛する人の幸せに
他人が存在することを認めた上で
それでも貴方の幸せを願えたというの?
枕の下に押し込んだ携帯が鳴ることを願いながら
鳴ることがないんだってことを理解している。
バイト中に送られてきたメール。
休憩時間に見てしまった現実。
それでも何もなかったように、お客さんの前で笑えたあたしは
きっとちゃんと分かっていたんだと思う。
こうなる日が来ることを。
来なければと一番に願いながら、来るということを一番分かっていた。
諦め切れない中で、諦めることしかできないというのは
きっと、とても
悲しいことで。
止まらない涙に、瞼が重くなりはじめ
いつしかあたしは眠りに落ちていた。
夢を、見た。
鳴らない携帯を前に、それでもコウタからの連絡を待っているあたし。
メール受信のランプが光る。
コウタからなわけがないと分かりながら
それでも期待をしてしまう。
受信ボックスを開き、メールを見る。
そこで、あたしは目が覚めた。