いつもならバイトだって、ぎりぎりの時間に家を出て、ぎりぎりの時間に着くようにしていたのに
今日ばかりは、いつもよりも1時間も早く家を出て
河川敷をぶらぶらと散歩して歩いて行った。
コウタと通った道のり。
コウタと何時間も座ってよく話していた場所。
大好きだった、コウタと過ごす夕暮れ時。
雲は流れ、時間も過ぎてゆく。
なにもかも、こんなにも鮮明に思い映し出されるのに
時間はあたしたちを忘れてゆく。
想い出は、ヒトリで抱えるものなんかじゃないよ。
二人で背負いあえたから、綺麗なままであり続けられるのに…。
『………コウタぁ』
置き去りにしないで。
こんなにも多くの想いを、置いて行かないで。